この春卒園されるお子様をお持ちのお母様方、卒園式に着ていくものはもうお決めになりましたか?
少し前まではフォーマルスーツを選択される方が圧倒的に多かったようですが、最近は若いお母様方の間でも和服が見直されてきていて、卒園式で着物をお召しになる方も少しずつ増えているようです。
普段から着物になじんでいない方には分かりにくいかもしれませんが、着物にはさまざまな決まり事があり、そこから外れると「マナーを知らない」と思われ、恥をかいてしまいます。
この記事では、卒園式に着物を着たいとお考えの着物初心者のママさんたちに向けて、卒園式という場にふさわしい着物についてご紹介いたします。
着物のTPOにはずれない、卒園式におすすめの着物
着物はTPO(時・場所・目的)によって着用する格を選びます。素材、柄のつき方、家紋の数などなど。
卒園式におススメの着物の種類は訪問着や付下げ、紋が1つ入った色無地です。
訪問着
付下げ
色無地
色はベージュ系やパステル系のものを選ぶと、卒園式にふさわしい、落ち着きのある華やかな雰囲気を出せるのではないでしょうか。
訪問着や付下げでしたら、柄は春らしいモチーフのものがいいですね。
着物の柄は季節を先取りするものです。入学式に桜の柄の入った着物は少し季節はずれになってしまいますよ。
桜の柄の入った訪問着や付下げをお持ちの方は、少し早いタイミングで執り行われる卒園式・卒業式に着用しましょう。
着物の種類と格
先ほど述べたように、着物には素材や柄の付き方によってさまざまな種類があり、その種類と着物に入れる家紋の数によって、▼このように「格」が決められています。
- 礼装着(第一礼装)
- 略礼装着(準礼装着)
- 外出着(おしゃれ着)
- 街着(普段着)
着ていく場所やそのときの立場によって、着るべき着物の種類が決まっているのです。
既婚女性にとって最も格の高い着物は黒留袖。家紋が5つ入っている黒無地の着物で、裾(すそ)に柄が入っています。結婚式や披露宴で新郎新婦のお母様やお仲人の女性が着ている着物。と言えばお分かりになるでしょうか。
卒園式のような場にふさわしい格式の着物は略礼装着(準礼装着)であり、訪問着・付下げ・1つ紋の色無地がこれに当たります。
訪問着というのは、全体的にひとつのモチーフが描かれているもの、または肩・袖・裾に連続性のある模様が入っているものです。
付下げは訪問着と似ていますが、仕立てのときの柄つけのタイミングが訪問着とは異なります。訪問着は着物の形に仮縫いしてから柄をつけますが、
付下げは反物の状態で柄つけをして仕立てるのです。
この柄つけのタイミングにより、付下げの柄のデザインには制限があり、仕立てによっては柄の位置がずれることなどもあって、付下げは訪問着よりも安価かつ格下のものとされていました。
しかし今は、反物の状態でも、コンピューターで出来上がりを細かく計算して柄を配置できますので、訪問着と付下げの差はあまりなくなっているようです。
色無地は、文字通り一色だけの着物で、入れる家紋の数で格式が異なります。5つ紋の色無地は礼装着と同じ扱いになりますので、格が高すぎますね。卒園式は略礼装着(準礼装着)のレベルで十分なので、卒園式などに着ていく場合は1つ紋のものにしましょう。
着物初心者の方には「格式」は分かりにくいと思います。ですが、年長の方や着物を日ごろから着なれている方にとっては伝統的な決まり事であり、着物界では大切なマナーです。
これから卒園式やその他お祝い事の席などに着物を着ていこうと思われる方は、この格式をしっかり守って、その場にふさわしい着物を選んでくださいね。
帯の種類と格
着物と同じように、帯にも種類や格式があります。
卒園式を含め、フォーマルな場にふさわしいのは袋帯か名古屋帯でしょう。
この袋帯と名古屋帯の大きな違いは長さです。
- 袋帯は4m以上
- 名古屋帯は3m50㎝前後
袋帯のほうが名古屋帯よりも60~70㎝長いです。
また名古屋帯は、お太鼓結びにする部分以外は、幅が袋帯の半分です。ここも大きな違い。
外から見てもわかんないけどね。
ちなみに「お太鼓結び」とは▼このような帯の結び方で、既婚の女性がフォーマルな場に出るときの一般的な結び方です。
袋帯の場合は、お太鼓の部分が二重になっている二重太鼓結び。名古屋帯の場合は一重太鼓結びにします。
二重太鼓結びは「福が重なる」という意味にも通じ、フォーマルなお祝いの席では袋帯での二重太鼓結びがふさわしいとされています。
袋帯はフォーマルな装いに。
名古屋帯はセミフォーマルな装いに。
とはいえ、金糸などを使った織りの名古屋帯などは格式が高いものとして扱われます。
逆に、袋帯であっても、素材によってはフォーマルな場所に合わないものもあります。
着物とのバランスもありますので、どのような帯がふさわしいかは、着物を購入した呉服店の方などにアドバイスをいただくなどして決めましょう。
まとめ
日ごろ着物を着なれていない方は、「着物や帯には格式がある」と聞くと、難しく感じてしまうかもしれませんね。
でも、着物や帯は、格式がはっきり決められているからこそ、その決まり事さえ知っていれば、その場にふさわしい装いができます。
着物の格式は洋服よりもハッキリしていて分かりやすいですが、迷ったときは、着物に詳しいお身内の方や呉服店の方に相談しましょう。
TPOに合った着物で、お子様の晴れの日をお祝いしてあげてくださいね。