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卒園式には着物で|総絞りはNG?着物の格のお話と色無地の場合の扱い

この春めでたく幼稚園・保育園を卒園されるお子様をお持ちのお母様方。「ぜひ着物で出席したい」とお考えではないでしょうか。

持ってはいるけれど、なかなか着ない着物。卒園式は絶好の機会ですね。

でも、お手持ちの着物が卒園式のような場に合うかどうか分からない・・・という方も多いことでしょう。

着物初心者の方には難しいかもしれませんが、着物にはいろいろな種類があり、それぞれ格があります。着物の柄つけの位置や柄つけの方法などによって、格が決まっているのです。

さて、この記事では、着物にあまり詳しくない方でも耳にしたことがあるであろう「総絞りの着物」の格についてご紹介いたします。

総絞りの着物は卒園式に着てもいい?

お手持ちの着物が「総絞り」であった場合、卒園式にその着物を着て出席してもおかしくないのかと悩まれている方はいらっしゃいませんか?

答えは・・・OKの場合もありますし、NGの場合もあります。

▼このように訪問着に仕立てられた総絞りで、金糸・銀糸の刺繍がほどこされたものや、「辻が花」のような絵模様染めのものは、卒園式のようなフォーマルなお祝いの場所にもふさわしい着物です。

辻が花 総絞り訪問着 手描き友禅

同じ総絞りでも、無地の着物は外出着、街着と見なされるので、フォーマルな席には向きません。歌舞伎や演劇鑑賞、お友達とのホテルでのお食事会などにはぴったりですので、そのような場で活用しましょう。

着物が総絞りだから格が低いわけではない?

同じ「総絞り」なのになぜ格が違うのか、不思議に思われる方もいらっしゃるでしょう。

ここでは着物の格についてお伝えしようと思います。

着物は、素材や柄の付き方の違い、着物に入れる家紋の数によって、▼このように「格」が決まっています。

[su_list icon=”icon: leaf” icon_color=”#bcdb99″ indent=”15″]
  • 礼装着(第一礼装)
  • 略礼装着(準礼装着)
  • 外出着(おしゃれ着)
  • 街着(普段着)
[/su_list]

卒園式などのような場にふさわしいのは略礼装着(準礼装着)。訪問着や付下げ(つけさげ)、紋が1つ入った色無地の着物がこれに当たります。

おや?「総絞り」がないね。

そのとおり。上記で述べた「格」の中には「総絞り」という言葉が見当たりませんね。

「総絞り」というのは染め付けの技法の一種。技法によって「格」が決まるわけではないのです。

総絞りが「格の低い着物」とされる理由には複数の説があります。

[su_tabs active=”1″][su_tab title=”説その1” disabled=”no”] 「総絞り」という技法は非常に手間がかかり、高価なもの。江戸時代の庶民はそのような贅沢な着物を着てはいけないと禁止令が出されました。そのため総絞りは「正式な場所では着てはならない着物」と認識されるに至り、そこから格の低い着物とされたという説。 [/su_tab] [su_tab title=”説その2” disabled=”no”] 着物の世界では、生地自体に光沢があるものや、刺繍(ししゅう)や箔(はく)などを施したものが「格式高い着物」とされており、光沢感のない総絞りは格の低い着物とされたという説。 [/su_tab] [su_tab title=”説その3” disabled=”no”] 総絞りには、着物の格を上げる「家紋」が入れられないため、格の低い着物として扱われるという説。 [/su_tab] [/su_tabs]

これらの説から、「総絞りは格が低い着物」と言う方もいらっしゃいます。

しかし、家紋が入れられないのはともかくとして、江戸時代には庶民が着用を禁止されるほどの贅沢品であったことや、金糸・銀糸の刺繍や箔をほどこされた総絞りには十分な光沢感があることなどを考えると、どうでしょうか。

そのような総絞りの生地で仕立てられた着物は、決して「格が低い」わけではないことは分かりますね。

総絞りの代表的な柄つけである「辻が花」などの総絞りの着物をお持ちの方は、せっかくの機会ですので、ぜひ卒園式でお召しになってくださいね。

初代 久保田一竹「辻が花」 訪問着・袋帯2点セット

総絞りで色無地の着物の格は?

同じ総絞りでも、無地の総絞りの着物は卒園式のような場には向きません。無地の総絞りは全体に同じ文様が繰り返される「小紋(こもん)」と同じ扱いです。

「小紋」というのは▼こんな着物だよ。

長~い商品名の中に「カジュアル」って言葉があるね。

そう。洋服で言えばTシャツとジーンズといった服装と同じです。

つまり、外出着や街着と同じ格。お友達どうしのお食事会や、カジュアルなパーティなどに着ていくようにしましょう。

ちなみに、総絞りでない色無地の着物も、家紋が入っていないものは外出着・街着といった扱いです。

色無地に家紋を入れることによって、卒園式などのような場に着てもおかしくない格になるのです。

※関連記事:卒園式・卒業式、入園式・入学式記事まとめ

まとめ

着物は日本の伝統的な衣装ですからさまざまな決まり事があります。
着物を着慣れていない方にとっては、意味が分からない着物用語もたくさんあることでしょう。

一番よいのは着物に詳しい呉服店の店員さんなどに聞くことです。

「総絞りは格が低い?」というような情報だけで
高価な着物を眠らせたままにしておくのは、とてももったいないと思いませんか?

お手持ちの着物がありましたら、
ぜひその着物の「格」と「着ていくのにふさわしい場」を調べて、
卒園式などに着物を活躍させてくださいね。